熊本県では、部落差別につながるような結婚や就職に際しての身元調査をしてはならないと、条例で定めています。
条例の目的
県民の基本的人権を守るうえから、結婚や就職に際して部落差別事象をなくすため、この条例では次のことを定めています。
- 同和地区に住んでいることや住んでいたことを理由として結婚や就職に際して引き起こされる部落差別事象を防ぐため、県や県民、事業者の役割と責任を明らかにしています。
- 結婚や就職に際して、同和地区に住んでいることや住んでいたことを県内事業者が調査しないようにするために必要な規制を定めています。
県の役割と責任
県は、国や市町村と協力して、結婚や就職に際して引き起こされる部落差別事象を未然に防止するために研修会等やマスメディアを活用した啓発事業を計画的に行います。
県民や事業者の役割と責任及び知事の指導・助言
県民や事業者一人ひとりがお互いの人権を大切にするため、すすんで同和問題への理解と認識を深めるとともに、県が行う施策への積極的な協力をお願いします。
県民や事業者は、結婚や就職に際して、次のようなことをしてはいけません。
- 同和地区の所在が明示された図書や地図などの資料を提供すること。
- 同和地区であることを教えたり、言い広めたりすること。
- 特定の個人やその親族が同和地区に住んでいるかまた住んでいたかについて調査を依頼すること。
- このほか、部落差別事象の発生につながるおそれのある行為をすること。
知事は、このようなことを行った県民や事業者に対して必要な指導・助言を行うことにしています。
県内事業者に対する規制と勧告、公表
- 県内の事業者は、結婚や就職に際して「特定の個人やその親族が同和地区に住んでいるかまたは住んでいたか」について、調査をしたり調査を引き受けたりしてはいけません。
- 県内の事業者がこれに違反した場合は、知事はその事業者に対して違反行為の中止と部落差別事象の発生の防止のために必要な措置を取るよう勧告することにしています。
- 知事は、違反した事業者がこの勧告に従わない場合や勧告する時に必要な資料の提出や説明を拒否した場合は、そのことを公表することにしています。ただし、県は、公表する前にその事業者からあらかじめ意見を聴くことにしています。
条例の周知及び啓発資料の提供
この条例パンフレットは、県が行う各種研修や人権イベントで配布するほか、熊本県人権センターで配布しています。