認可制度について
以前は、町内会等には法人格が認められていなかったため団体名義での不動産の登記ができず、町内会等で所有する集会所等の不動産登記は、当該団体の代表者等の個人名でされていたため、当該名義人の死亡や転居等により名義の変更や相続などの問題が起きていました。
このような問題に対処するため、平成3年4月に地方自治法の一部が改正され、一定の手続きにより町内会等が法人格を取得し団体名での不動産等の登記ができるようになりました。
対象団体
この制度は、一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(以下「地縁団体」といいます。)、いわゆる町内会を対象としていますので、次のような団体は対象となりません。
- 特定の目的の活動だけを行う団体・・・スポーツ活動だけや環境美化活動だけを行う団体など
- 構成員に対して住所以外の特定の属性を要する団体・・・老人会や子供会(年齢の制限)、婦人会(性別の制限)など
認可の要件
地縁による団体の認可を受けるためには、次の4つの要件をすべて満たしていることが必要です。
1 その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること
地域的な共同活動とは、住民相互の連絡、清掃・美化活動、自治会館の管理運営、防犯・防災活動、親睦旅行など一般的な自治会活動のことです。
2 その地域が住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること
河川・道路等で区域が画されているなど、容易に区域の範囲がわかる状態である、という意味です。他の町内会と区域が重ならないようにしてください。また、飛地については、地域としてのまとまりが歴史的な実態としてあるのであれば、対象となります。
3 その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となっていること
その区域に住む全ての人が加入できるという意味です。世帯を単位とすることは認められず、また区域に住所があること以外に、年齢・性別・国籍等の条件をつけてはいけません。相当数とは、その区域の全住民の過半数です。
4 規約を定めていること
次の8項目をすべて含んだ規約を定める必要があります。なお、実質的にも必要な項目が定められていれば規約の名称に制限はなく、「XX会則」「XX会規定」といった名称でも構いません。
- 目的
- 名称
- 区域
- 主たる事務所の所在地
- 構成員の資格に関する事項
- 代表者に関する事項
- 会議に関する事項
- 資産に関する事項
令和3年の地方自治法改正によって地縁による団体が認可を取得する要件が「地域的な共同活動を円滑に行うこと」となり、「不動産の保有(又は保有予定)」は認可取得の要件ではなくなりました。
認可申請の事前準備
地縁による団体の認可申請を行う前に、当該地縁団体の現行の規約に基づき総会を開催し、認可申請の要否の意志決定をします。
また、併せて規約の決定、区域の確定、構成員の確定、代表者の決定、保有財産の確定等を審議し、団体の意志決定をします。
なお、認可申請の意志決定と規約の決定等の意志決定は、同一の総会で行われることが望ましいのですが、別々の総会でも構いません。
1 規約の整備(定めなければならない事項)
【目的】
良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的としますが、当該地縁団体の権利能力の範囲を明確にするためにも、活動内容をできる限り具体的に定めてください。
【名称】
特に制限はありませんが、他の法律には抵触しないことに留意してください。
【区域】
字名、地番、住居表示番号で表示してください。ただし、河川や道路などの客観的なものによる表示方法でも構いません。
河川や道路などの客観的な表示方法により規定している場合は、当該区域の範囲が地番等で具体的に表示できるような資料を添付してください。
【主たる事務所の所在地】
特に制限はありませんが、これが当該地縁団体の正式な住所となります。「会長の自宅に置く。」と定めることもできます。
【構成員の資格に関する事項】
当該地縁団体の区域に住所を有するものは全て構成員になれること及び正当な理由がなければ加入を拒むことができない旨を必ず明記しなければなりません。構成員の条件には、区域に住所を有すること以外の事項(例えば、年齢制限等)を設けてはいけません。
加入及び脱退等の資格得喪手続きをできる限り定めてください。
【代表者に関する事項】
代表者の選出方法、任期、職務等を規定します。また、地方自治法第260条の5から同法第260条の10の規定が適用されますので留意してください。
【会議に関する事項】
会議の種類、招集方法、議決方法、議決事項等を規定します。また、地方自治法第260条の13から同法第260条の19の2の規定が適用されますので留意してください。
【資産に関する事項】
保有資産の構成、取得、処分の方法及び管理の方法等を規定します。また、地方自治法第260条の4の規定により財産目録の作成が義務付けられていますので留意してください。
なお、負債財産は規定する必要はなく、保有財産の構成は「別に定める保有財産目録による」としても構いません。
2 構成員の確定
構成員を明確にする上から、申請前の総会で構成員を確定する必要があります。なお、認可申請には、氏名及び住所を明記した構成員名簿を添付することが要件となっています。
3 代表者の決定
認可申請は、当該地縁団体の代表者が行うことになっていることから、申請前の総会で代表者の決定をする必要があります。
4 不動産等の資産の確定
保有資産を明確にする上から、申請前の総会において資産の確定をしておく必要があります。
認可申請手続き
認可手続きの流れ
- 町内会で地縁団体の法人化申請について話し合い
- 地域コミュニティ課へ事前相談、規約案などの作成
- 町内会で総会を開催
次の項目についての議事録を作成してください。
- 法人格を取得するための規約の制定案又は改正案の議決
- 認可申請することの議決
- 申請者を代表者とすることの議決
- 構成員を確定し個人の名簿を市に提出することについての承認
- 保有する資産の確定(自治会館用地、建物等)
- 認可申請に必要な書類の作成、提出
- 地域コミュニティ課にて提出書類の確認及び認可要件審査
- 市長による認可を告示(認可告示は法人登記に代わるものです)
認可申請に必要な書類
- 認可申請書
- 規約
- 認可を申請することについて総会で議決したことを証する書類(議事録)
- 構成員の名簿
- 良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を現に行っていることを記載した書類(事業報告書、決算報告書、事業計画書、予算書等)
- 申請者が代表者であることを証する書類
認可告示後の手続き等
1 認可告示及び認可通知
認可申請の受理後、内部審査を経て法人化の認可をし、告示します。認可された団体については、認可通知をします。
2 証明書の交付
証明書は証明書交付申請書による請求に基づき、証明書を交付します。
3 法人登記
認可地縁団体としての法人登記は、市長が行う告示をもってこれに代えることとなりますので、法務局への法人登記は必要ありません。なお、地縁団体はこの告示があるまでは、地縁団体として認可されたことをもって第三者に対抗することはできませんのでご留意ください。
4 不動産登記
地縁団体の保有資産の登記は、区長が発行する証明書を添付し申請することとなりますが、他の書類も必要となりますので、所轄の法務局等に確認してください。
5 認可地縁団体の義務
認可された地縁団体は、告示事項(代表者の氏名及び住所、区域等)を変更した場合や規約を変更した場合、解散等をした場合は、市長へ届け出なければなりません。
特に、規約を変更する場合、変更後の規約は、市長の規約変更認可を受けなければ効力を発しませんのでご留意ください。
- 告示事項を変更した場合
告示事項変更届出書様式(代表者変更) (Word 52KB)
- 規約を変更した場合
6 各種税金関係
税金関係については、地縁団体認可の前後で基本的には変更はありません。なお、詳細はそれぞれの関係機関にお問い合わせください。
申請にあたっての注意点
認可申請にあたっては、必ず貴団体の現行の規約に基づいて総会を開催し、認可申請の可否だけでなく、規約の整備、代表者の決定、区域の確定、構成員の確定、保有財産の確定等についても審議してください。
特に規約については、必ず見直しをしていただき、認可要件に合致するよう規約の改正をしてください。なお、総会を開催する前に、規約の改正案について市役所地域コミュニティ課に相談してください。
認可を受けた団体は、地方自治法の関係規定の一部が適用されるとともに、一般社団・財団法人法の規定の一部が適用されることになりますのでご留意ください。
町内会向け地縁による団体の認可の手引きについて