○人吉市用地事務取扱要項
令和5年11月30日
告示第139号
(目的)
第1条 この要項は、人吉市所管の公共事業(以下「事業」という。)の用に供する土地等の取得又は使用及びこれらに伴って生ずる損失の補償に関する事務(以下「用地事務」という。)を適正に処理し、もって、円滑な事業の施行を図ることを目的とする。
(1) 土地等 土地、土地収用法(昭和26年法律第219号。以下「法」という。)第5条に規定する権利及び同法第6条に規定する立木、建物その他土地に定着する物件及び同法第7条に規定する土石砂れきをいう。
(4) 土地等の権利者 土地等の取得等又は使用等に係る土地等に関して権利を有する者をいう。
(5) 権利 社会通念上権利と認められる程度にまで成熟した慣習上の利益を含むものとする。
(6) 課長 市街地復興課長をいう。
(7) 創設換地等 土地区画整理法(昭和29年法律第119号)に基づき換地処分により事業施行区域内の土地を取得する場合をいう。
(用地取得の計画)
第3条 関係事業課は、毎年度当初、事業箇所毎に事業計画段階から工事完了までを見通して、計画的に用地取得を進めるための工程管理計画を策定しなければならない。
2 関係事業課は、前項の工程管理計画を策定するに当たり、用地取得費の配分、取得期間等を十分考慮し、課長と協議しなければならない。
(用地取得状況の把握)
第5条 課長は、用地取得状況を把握しておくとともに、その状況を関係事業課に報告するものとする。
(取得困難な土地等の処理)
第6条 課長は、事業箇所別進行管理表等に定めた土地等の取得等又は使用等が困難な箇所については、毎年度10月末日までに取得箇所の変更、工事費への流用、事業認定の申請、繰越しの手続等の適切な処理を行うよう関係事業課と協議しなければならない。
2 課長は、土地等の取得等又は使用等の交渉が著しく困難な事業については、法第16条に規定する事業の認定及び法第39条に規定する裁決の申請について関係事業課と協議するものとする。
(用地取得の完了しない土地における工事の禁止)
第7条 関係事業課は、土地等の取得等の完了していない土地においては、創設換地等により土地等の取得等をする場合を除き、工事を行ってはならない。ただし、災害により緊急に工事を行わなければ公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあると認められる場合で、起工承諾書により土地等の権利者の承諾を得られたときは工事を行うことができる。
(地元の協力確保の措置)
第8条 関係事業課は、事業に着手しようとするときは、関係町内会及び事業地付近の住民に対し、事業計画に係る説明会の開催等により、地元の協力が得られるように努めなければならない。
(身分証明書の携帯)
第9条 用地事務に従事する職員は、用地事務を遂行するときは、常に身分証明書を携帯し、土地等の権利者及び利害関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(事業地の概況調査)
第10条 関係事業課は、土地等の取得等又は使用等を行おうとするときは、事業施行区域の地形、土地利用の状況、法令上の規制、建物等の種類及び形状その他必要な事項の概況を調査しておかなければならない。
2 関係事業課は、前項の調査の結果、事業区域について保安林の指定、国立公園等の指定等の法令上の規制がある場合は、事業着手前に解除手続等を行わなければならない。
(実施計画の検討)
第11条 関係事業課は、事業計画の決定に際しては、前条の調査に基づき課長と協議の上、建物移転補償、隣接地の補償及び事業損失の発生を検討し、区域の決定をしなければならない。
(立入調査)
第12条 関係事業課は、土地等の取得等又は使用等をする場合において、当該土地等に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、あらかじめ土地等の権利者にその旨を通知し、承諾を得なければならない。
2 関係事業課は、前項の立入測量又は調査のため障害物の伐採、土地の試掘等をする必要があるときは、あらかじめ当該障害物又は土地等の権利者へ通知し、承諾を得なければならない。
3 関係事業課は、前項の規定により通知し、承諾が得られない場合は、関係法による立入り、試掘等の手続を行わなければならない。
(測量、調査の基本原則)
第13条 関係事業課及び課長は、現地において土地等の測量又は調査を行おうとするときは、測量又は調査の公正を期すため原則として2人以上の職員に行わせなければならない。
2 地図、土地調査表及び土地測量図(以下「丈量図」という。)、建物・工作物調査表、図面等には、調査又は測量年月日及び図表作成年月日並びに調査者又は作成者の職氏名を記載しなければならない。
3 建物等の物件については、全景及び各面を写真撮影し、撮影年月日及び撮影者その他必要な事項を明記し、保管しなければならない。
4 丈量図、調査表等の図面は、長期間保存できるようにしておかなければならない。
(立入りによる損失に係る補償)
第14条 関係事業課及び課長は、土地等への立入測量、調査等を行うことによって損失を生じさせたときは、当該損失を受けた者に補償するものとする。
(補償金の額の算定)
第15条 土地等の取得等又は使用等に係る補償金は、公共用地の取得に伴う損失補償基準(昭和37年10月12日用地対策連絡会決定)、公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱(昭和42年2月21日閣議決定)、人吉市土地区画整理事業施行に伴う損失補償基準(令和5年人吉市告示第136号)及び損失補償算定標準書について(運用申し合わせ)(各年度の九州地区用地対策連絡会理事会決議)に基づき算定しなければならない。
2 用地単価の使用期間は、土地評価の価格時点から1年間とし、補償基準単価の適用期限は翌年9月末までとする。
(評価調書の作成)
第16条 課長は、前条の規定に基づき算定した補償金の額で土地等の権利者全員を1件とする交渉において、全員と妥結できる確認を得たときは、人吉市評価調書作成要項(令和5年人吉市告示第153号)により当該土地等の取得等に伴う損失を評価する調書(以下「評価調書」という。)を作成しなければならない。
2 前項の評価調書の評価額の決定は、人吉市事務決裁規程(昭和49年人吉市訓令第3号)別表第1の3財務に関する事項(契約関係)の表中(3)備品・公有財産の購入及び補償の部予定価格の決定の項の決裁区分により行うものとする。
(事前協議事項)
第17条 関係事業課及び課長は、補償交渉を公正円滑に推進するため、次に掲げる事項については、事前に双方協議を行うものとする。
(1) 前条の規定に基づき作成する評価調書(土地所有者関係人、土地価格、建物移転工法及び損失補償額)
(2) 事業損失に関する補償(補償基準等がある定型的なものを除く。)
(3) 隣接地補償
(4) 現物補償等の特殊なものに係る補償
(5) その他関係事業課及び課長が必要と認めた事項
(用地交渉)
第18条 関係事業課及び課長は、土地等の取得等又は使用等及びこれに伴う損失の補償に関して、土地等の権利者と交渉(以下「用地交渉」という。)するときは、誠意をもって行い、速やかに適正な補償額で妥結するよう努めなければならない。
2 関係事業課及び課長は、原則として2人以上の職員を用地交渉に当たらせ、用地交渉の内容の確認と公正を確保するよう努めなければならない。
3 関係事業課及び課長は、第1項の用地交渉を開始しようとするときは、土地等の権利者に対して、図面等を用いて事業の用に供する土地等(以下「事業用地」という。)の説明を行うものとする。
(用地交渉記録簿の作成)
第19条 関係事業課及び課長は、用地交渉の過程、内容その他必要な事項を用地交渉日誌(様式第2号)に記録しておかなければならない。
(契約の締結)
第20条 課長は、用地交渉が妥結したときは、契約の種類に応じ、直ちにそれぞれ定める契約書及び登記が必要な場合はその書類を作成し、土地等の権利者の署名、押印を求め(場合によっては、印鑑証明書及びその他必要な書類の提出を求めることもある。)、次に掲げる契約を締結するものとする。
(1) 土地売買契約書(様式第3号)
(2) 権利消滅に関する契約書(様式第4号)
(3) 土地賃貸借等に関する契約書(様式第5号)
(4) 土地賃貸借等(継続)に関する契約書(様式第6号)
(5) 土地使用貸借等に関する契約書(様式第7号)
(6) 借家人補償契約書(様式第8号)
(7) 配偶者居住権者補償契約書(補償物件有)(様式第9号の1)
(8) 配偶者居住権者補償契約書(補償物件無)(様式第9号の2)
(9) 補償契約書(様式第10号)
(10) 立竹木取得補償契約書(様式第11号)
(11) 隣接地補償契約書(様式第12号)
(12) 事業損失補償契約書(様式第13号)
(13) 創設換地の取得に関する協定書(様式第14号)
2 課長は、前項各号に規定する様式により契約することが適当でないと認められるときは、これに準じて契約書を作成することができる。
3 課長は、取得しようとする土地等に障害となる権利が設定されており、その権利が補償の対象とならないものの場合は、契約前に土地等の所有者にその権利を抹消させなければならない。
(寄附)
第21条 関係事業課は、事業用地の所有者から土地等の寄附の申出があったときは、その土地の調査を行うとともに、人吉市財産規則及び物品会計規則における寄附取扱要項(令和4年人吉市告示第24号)に基づき処理するものとする。
2 課長は、前項の規定による所有権移転登記を行うため、所有権保存、相続、変更、更正等の登記を行う必要があると認めるときは、所有権移転登記と併せて代位により嘱託するものとする。
(1) 分筆を要する土地 分筆登記
(2) 地積の訂正を要する土地 地積訂正
(地目変更の登記)
第24条 課長は、所有権移転登記を完了した土地について、地目変更をしたときは、不動産登記法第37条第1項の規定により土地の表示の変更(地目変更)登記を行わなければならない。
(補償金の請求)
第25条 課長は、補償金の支払について、土地等の権利者が契約条件に基づく契約義務を履行したときは、請求書を提出させるものとする。ただし、土地等の権利者が補償金の受領に関する権限を他の者に委任したときは、委任状を提出させるものとする。
2 前項の請求書及び委任状の印鑑は、契約書に押印したものと同一のものでなければならない。
(検査)
第26条 課長は、土地等の権利者が第20条第1項に掲げる契約に基づき定められた義務を履行したときは、自ら又は検査職員を任命し、検査を行わなければならない。
(1) 権利の売買及び消滅の契約にあっては、権利の移転及び消滅又は抹消の登記及び引渡し
(2) 物件の移転等の補償契約にあっては、物件等の移転の完了
(3) 借家人、借間人又は配偶者居住権を有する者の補償にあっては、建物所有者への明渡し及び権利の消滅
(4) 土地の賃貸借にあっては、引渡し
(契約履行の確保)
第27条 課長は、土地等の権利者が第20条第1項に掲げる契約に定められた履行期限までに当該義務の履行を完了する見込みがないときは、当該義務の履行を完了するために必要な催告等の措置を講じなければならない。
(繰越措置)
第28条 課長は、前条の措置にもかかわらず、契約等に定められた履行期限までに履行が困難と判断される場合には、繰越措置を行った上で期限の変更契約の手続を行うものとする。
2 前項の変更契約における履行期日は、契約等に定められた履行期限の次年度9月30日までとする。ただし、やむを得ず再度期日の変更を必要とする場合は、課長は、契約相手方からの申出書を取得の上、関係事業課に協議をしなければならない。
2 課長は、借家人補償契約について、土地売買及び建物移転補償契約の成立後又は成立前にあっては建物の所有者から、借家人の移転後当該建物に新たな借家人を入居させない旨を確約する書面を提出させた場合、補償費の70%以内の前払ができる。
3 課長は、土地の賃貸借契約について、土地の引渡しがあったときは、賃借料の100%以内の前払ができる。
4 課長は、官公庁との契約において前払を条件としなければ契約できない場合で、契約履行が確実と考慮されるときは、契約金額の100%以内の前払ができる。
5 課長は、創設換地等により土地を取得する場合の土地売買代金については契約金額の100%以内の前払ができる。
6 課長は、代替地提供者を含む一括契約方式(三者契約)による土地売買等の契約により用地取得した場合で、次の条件を全て満たす場合は、事業用地の登記完了後に当該事業用地の引渡前にかかわらず、事業用地代金の100%以内の前払ができる。
(1) 代替地提供者から代替地代金の全額の支払の請求が行われた場合
(2) 起業用地提供者が代替地代金の支払を了解した場合
7 課長は、租税特別措置法(昭和32年法律第26号)に規定する贈与税及び相続税の納税猶予の特例を受け、財務省名義の抵当権が設定されている取得対象地において、財務省へ本税及び利子税を納付しなければ、抵当権の抹消承諾書が得られない場合には、登記の嘱託に必要な次の書類を徴したものに限り、用地費の100%以内の前払ができる。
(1) 登記原因証明情報
(2) 登記承諾書
(3) 印鑑証明書
(4) その他登記嘱託に必要な書類
(1) 物件等の移転補償契約について、補償費の70%以内
(2) 土地の売買契約について、用地費の70%以内(国有地及び県有地の貸付け及び譲与申請)
(1) 事業計画書
(2) 工事実施計画書
(3) 工事平面図
(4) 丈量図
(5) 位置図
(6) 地(字)図の写し
(7) その他必要な書類
2 関係事業課は、取得等又は使用等しようとする土地等が国有財産等であるときは事前にその土地を所管する各省庁の部局等と、県有財産であるときは事前に熊本県と事業計画について協議しなければならない。
(土地台帳の作成)
第31条 課長は、土地等を取得等したときは、用地台帳(様式第21号)を作成し、登記事務の整理を行うものとする。
(関係書類の完備)
第32条 課長は、土地等の取得等が完了したときは、次の書類を常に閲覧できるよう完備しておかなければならない。
(1) 契約書
(2) 土地台帳
(3) 評価調書
(取得等した土地等の管理)
第33条 課長は、取得等した土地等を関係事業課に速やかに引き渡し、関係事業課はこれを適正に管理しなければならない。
2 関係事業課は、取得等した土地等を事業の用に供するときは、完全取得されていることを確認しなければならない。
(財産管理人等の選任)
第34条 課長は、土地等の権利者の行方が不明で土地等の取得等ができないときは、民法(明治29年法律第89号)第25条の規定による不在者の財産管理人の選任申立ての手続を経て取得するものとする。
2 課長は、土地等の権利者に相続人のあることが明らかでなく、土地等の取得等ができないときは、民法第952条の規定による相続財産清算人の選任申立ての手続を経て取得するものとする。
3 課長は、前2項以外の方法により土地等の取得等が可能な場合は、適当な法に基づき取得することができる。
(業務の委託)
第35条 課長は、土地等の取得等に関する事務を委託しようとする場合は、それぞれの人吉市建物等調査委託事務要項(令和5年人吉市告示第142号)又は人吉市登記嘱託事務委託要項(令和5年人吉市告示第143号)に基づいて行うものとする。委託要項の定めのない事務を委託する必要が生じたときは、関係事業課と協議するものとする。
(補償金の課税の特例措置)
第36条 関係事業課は、土地等の取得等又は使用等により権利者が受ける補償金が租税特別措置法の適用を受けられるよう事前に所管税務署と協議を行い、円滑な運用を図らなければならない。ただし、権利者が受ける補償金の額の最高額が200万円未満である事業に係るものについては、事前協議を省略できる。
2 課長は、土地等の取得価格の交渉を始めたときは、権利者に対し公共事業用資産の買取り等の申出証明書(様式第22号)を交付し、その写しを所管税務署へ提出しなければならない。
(補則)
第37条 この要項に定めるもののほか、この要項の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この要項は、令和5年12月1日から施行する。