○人吉市議会基本条例
令和4年6月28日
条例第25号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 議会及び議員の活動原則等(第4条―第7条)
第3章 市民と議会の関係(第8条―第10条)
第4章 議会と行政の関係(第11条―第13条)
第5章 議会運営(第14条―第16条)
第6章 議会の機能強化(第17条―第19条)
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第20条―第23条)
第8章 最高規範性及び見直し等(第24条―第26条)
附則
人吉市は、相良氏統治700年の歴史があり、古い歴史と特有の文化・伝統に育まれた地域であり、豊富な文化財等の宝庫である。
昭和17年(1942年)2月11日に人吉町、西瀬村、中原村及び藍田村の1町3村が対等合併し、「人吉市」が誕生した。以来、その地域の特性を生かし、市民とともに歩み発展を遂げてきた。
そのような中、地方公共団体は、平成12年4月のいわゆる地方分権一括法の施行により、中央集権型の国家運営から、その自らの責任において様々な決定を行うこととなった。
そして、今日、地方自治は大きな社会潮流の中でその自主性、自立性が問われる時代を迎えている。
このような状況下において、人吉市議会は、日本国憲法に定める地方自治の本旨に基づき、二元代表制の一翼を担う議会の機能を高めることにより市民福祉の更なる向上を目指すとともに、市政の意思決定機関としてその権能を最大限に発揮できるよう、自らの果たすべき役割と責務の重要性を改めて認識し、市民の負託に全力で応えていく決意である。
よってここに、人吉市議会の志す基本理念及び基本方針を定め、議会の最高規範としてこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、人吉市議会(以下「議会」という。)の基本理念及び基本方針を定め、市議会議員(以下「議員」という。)及び議会の活動原則等を明らかにするとともに、議会と市民との関係、議会と市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との関係その他の議会に関する基本的事項を定めることにより、議会機能を強化し、議会が市民の負託に的確に応え、もって市民の福祉の向上及び市勢の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、市民自治の観点から、時代を先導し、真の地方自治の実現を目指すことを基本理念とする。
(基本方針)
第3条 議会は、前条に規定する基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本方針とする。
(1) 二元代表制の下、本市の意思決定を担う議決機関としての責任を自覚し、その権能を最大限に発揮すること。
(2) 市民に対し市政に関する情報を積極的に公開するとともに、市民に分かりやすい開かれた議会運営を行うこと。
第2章 議会及び議員の活動原則等
(議会の活動原則)
第4条 議会は、市民を代表する合議制の機関として、その役割を果たすため、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 公正性及び透明性を確保すること。
(2) 市民に対する説明責務を果たすこと。
(3) 市民の負託に的確に応える議会の在り方を不断に追求し、議会の改革に継続的に取り組むこと。
(議員の活動原則)
第5条 議員は、市民の直接選挙によって選ばれた公職として、自らの職責を果たすため、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 市政に関する市民の意思の把握に努めること。
(2) 市政の課題及び政策に関する広範な情報収集及び調査研究に努めること。
(3) 自らの資質向上のため、不断の研さんに努めること。
(災害時の議会対応)
第6条 議会は、災害時においても、議会機能を的確に維持しなければならない。
2 災害時の議会の行動基準については、人吉市議会災害対応指針(平成28年12月20日施行)及び人吉市議会災害対応連絡会議設置要綱(平成28年12月20日施行)に定めるところによる。
(会派)
第7条 議員は議会活動に資するため、政策を中心とした同一の理念を有して活動する会派(以下この条において「会派」という。)を結成することができる。
2 会派は、次に掲げる役割を果たすものとする。
(1) 議員の活動を支援すること。
(2) 政策の立案及び提言並びに議案等の審議及び審査のための調査研究を行うこと。
(3) 会派間で相互に協議及び調整を行い、円滑かつ効果的な議会運営に努めること。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加の機会の充実)
第8条 議会は、その活動に市民の意思を反映することができるよう、市民が議会の活動に参加する機会の充実を図るものとする。
2 議会は、請願の審査に際し、請願者から趣旨の説明を聴く機会を確保するよう努めるものとする。
(広聴広報の充実)
第9条 議会は、市民に開かれた議会を実現するため、多様な手段を活用して市民の意思を把握し、それらを議会活動に反映するとともに、情報技術の発達を踏まえ、多様な媒体を用いた議会広報活動に努めるものとする。
(議会報告会及び意見交換会の開催)
第10条 議会は、市民への議会の活動状況等の報告及び市民との意見交換を、人吉市議会報告会及び意見交換会実施要綱(平成23年10月24日施行)に基づき、実施するものとする。
2 議会は、市政の諸課題に柔軟に対処し、提言につなげるため、人吉市内の団体との意見交換会を、人吉市議会「市民と議会の意見交換会」実施要綱(平成29年6月27日施行)に基づき、実施するものとする。
第4章 議会と行政の関係
(市長等との関係)
第11条 議会は、二元代表制の下、市長等と対等で緊張ある関係を構築し、市長等の事務の執行の監視及び評価を行うとともに、政策の立案及び提言を通じて、市勢の発展に取り組むものとする。
2 議会は、前項の活動を円滑に進めるため、市長等に対し、積極的に市政に関する情報提供を求めるものとする。
(政策等の形成過程の説明要求等)
第12条 議会は、市長が提案する政策等について、議会審議における論点を整理し、その審議を深めるため、市長等に対し、必要な情報を明らかにするよう求めるものとする。
2 議会は、市長が議決事件に含まれない重要な政策等を提案するときは、あらかじめ、議会に意見を聞く機会を設けるよう求めるものとする。
(確認の機会の付与等)
第13条 議員は、本会議において質問又は質疑(以下この条において「質問等」という。)を行うに当たっては、当該質問等の論点を明確にし、市民に分かりやすい方法で行わなければならない。
2 市長等は、本会議における質問等に対して、議長の許可を得て、反問をすることができるものとする。
第5章 議会運営
(議会定例会)
第14条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第102条第2項の規定による議会の定例会の回数は、人吉市議会定例会条例(昭和31年人吉市条例第9号)で定める。
(議会運営)
第15条 議会は、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。
2 議会は、議員間における討議を通じて合意形成を図るよう努めるものとする。
3 議会は、市民に分かりやすい言葉、表現を用いた議会運営に努めなければならない。
4 その他議会運営については、人吉市議会会議規則(昭和46年人吉市議会規則第1号)で定める。
(委員会運営)
第16条 議会は、市政の諸課題を適正に判断し、専門性及び特性を生かした積極的な委員会運営に努めなければならない。
2 委員会は、委員間の討議を通じ、積極的な政策立案及び政策提案に努めるものとする。
3 委員会の運営に関し必要な事項は、人吉市議会委員会条例(昭和46年人吉市条例第10号)で定める。
第6章 議会の機能強化
(議員研修)
第17条 議会は、議会の機能強化等のため議員研修の充実強化に努めなければならない。
(議会事務局の体制強化)
第18条 議会は、議会及び議員の政策立案能力を高めるため、議会事務局の法務及び財務等市政に関する調査機能の強化に努めるものとする。
(議会図書室の充実強化)
第19条 議会は、議員の議会における審議及び調査研究に資するため、議会図書室について、必要な資料等の収集保管のみならず、議員に積極的な情報提供を行う機能の充実強化に努めるものとする。
2 前項の議会図書室については、人吉市議会図書室設置条例(昭和23年人吉市告示第78号)で定める。
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第20条 議員は、市民の負託により市政に携わる権能及び職責を有することを深く認識し、その負託に応えるため、政治倫理の向上及び確立に努めるものとする。
2 前項の規定に基づく議員の政治倫理については、人吉市政治倫理条例(平成10年人吉市条例第30号)で定める。
(議員定数)
第21条 法第91条第1項の規定に基づき、議会の議員の定数は、人吉市議会議員定数条例(昭和26年人吉市条例第5号)で定める。
2 議員定数を変更するときは、市政の現状及び課題並びに将来の予測、展望等を十分に勘案し、検討されなければならない。
(議員報酬)
第22条 議員報酬は、二元代表制の趣旨及び社会経済情勢を勘案するとともに、議員の活動状況を反映し、定められなければならない。
2 前項の議員報酬については、人吉市議会の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和31年人吉市条例第19号)で定める。
(政務活動費)
第23条 政務活動費の交付を受けた議員は、使途の透明性を確保した上で、政務活動費を有効に活用して調査研究を行い、議会活動の充実及び強化に努めなければならない。
2 前項の政務活動費については、人吉市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年人吉市条例第21号)で定める。
第8章 最高規範性及び見直し等
(最高規範性)
第24条 議会は、議会に関する他の例規を解釈し、又は制定改廃するときは、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。
(見直し手続)
第25条 この条例の施行後、議会は、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案して、議会運営に係る不断の評価、検証及び改善を行い、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(議会改革の推進)
第26条 議会は、社会環境、経済情勢等の変化により新たに生ずる市政の課題等に適切かつ迅速に対応するため、継続的な議会の改革に取り組むものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。