○人吉市田んぼダム協力支援事業補助金交付要項

令和3年10月28日

告示第167号

(趣旨)

第1条 この要項は、熊本県が実施する田んぼダム実証実験事業により効果検証を行うに当たり、田んぼダム実験事業のモデル地区へ参画する農業者に対し、人吉市田んぼダム協力支援事業補助金(以下「補助金」という。)を交付することについて、人吉市補助金交付規則(昭和46年人吉市規則第15号。以下「規則」という。)に定めるもののほか、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 田んぼダム 県が実施する田んぼダム実験事業に協力するほ場をいう。

(2) 農業保険制度 農業保険法(昭和22年法律第185号。以下「法」という。)第97条の規定による共済事業及び法第175条の規定による農業経営収入保険事業をいう。

(3) 農作物共済 法第98条第1号の規定による事業をいう。

(4) 収入保険 法第175条の規定による事業をいう。

(5) 全相殺方式 農業保険法施行規則(平成29年農林水産省令第63号。以下「施行規則」という。)第87条第1号の規定によるものをいう。

(6) 半相殺方式 施行規則第87条第2号の規定によるものをいう。

(事業の内容)

第3条 田んぼダム実験事業の内容は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。

(1) 田んぼダム協力支援金事業

田んぼダムに協力する農業者が、第4条第1項第1号の農業保険制度に加入している場合に、田んぼダムモデル地区内の水稲作付面積に応じて補助する事業

(2) 田んぼダム協力農家収入補てん事業

田んぼダム協力支援金事業の対象者である農業者が、田んぼダムを実施したことにより、当該年の水稲の収穫量が基準収穫量の9割以下となった場合に、田んぼダムモデル地区内の水稲作付面積に応じて、農業保険制度で補償できない自己責任部分相当額を補てんする事業

(補助金の対象者等)

第4条 補助金の交付対象となる者(以下「補助対象者」という。)は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号の要件に該当する農業者とする。

(1) 田んぼダム協力支援金事業

次に掲げるいずれかの農業保険制度に加入している農業者とする。

 農作物共済(水稲)全相殺方式の9割補償に加入している農業者。ただし、農作物共済(水稲)全相殺方式に加入できない農業者にあっては、農作物共済(水稲)半相殺方式の8割補償に加入している農業者(熊本県農業共済組合の証明が必要)

 収入保険の90%補償に加入している農業者。ただし、青色申告書の提出年数が3年以下のため、収入保険の90%補償に加入できない農業者にあっては、次の補償に加入している農業者

(ア) 青色申告書の提出年数が3年の場合 収入保険88%補償に加入

(イ) 青色申告書の提出年数が2年の場合 収入保険85%補償に加入

(ウ) 青色申告書の提出年数が1年の場合 収入保険80%補償に加入

(2) 田んぼダム協力農家収入補てん事業

次に掲げる要件をすべて満たしている農業者とする。

 田んぼダム協力支援金事業の補助対象者であること。

 市長が、田んぼダムモデル地区ほ場において、水深25cm以上で24時間以上のたん水を確認した場合

 田んぼダムモデル地区ほ場において、が原因で当該年の収穫量が基準収穫量の9割以下であること。ただし、当該年の収穫量が基準収穫量の9割以下であることの判断は、別記1により判断する。

(補助金の額)

第5条 補助金の交付は1回限りとし、補助金の額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額を予算の範囲内で交付するものとする。

(1) 田んぼダム協力支援金事業

田んぼダムモデル地区内での水稲作付面積(耕地ごとの面積に0.1a未満の端数があるときは、これを四捨五入して得た面積)に10a当たり2,000円を乗じて得た額

(2) 田んぼダム協力農家収入補てん事業

田んぼダムモデル地区内での水稲作付面積(耕地ごとの面積に0.1a未満の端数があるときは、これを四捨五入して得た面積)に10a当たり11,700円を乗じて得た額

(補助金交付申請)

第6条 補助金の交付申請をしようとする者(以下「申請者」という。)は、人吉市田んぼダム協力支援事業補助金交付申請書(様式第1号)次の各号に掲げる書類を添えて市長に提出しなければならない。

(1) 農作物共済に加入の場合にあっては水稲共済加入承諾書兼共済掛金等払込通知書の写し、収入保険に加入の場合にあっては農業経営収入保険の保険証書の写し

(2) 農作物共済(水稲)半相殺方式に加入の場合は、熊本県農業共済組合が全相殺方式に加入できないことを証する書類(様式第2号)

(3) 別記1の3に規定する算出方法(個別確認法)で当該年の収穫量が基準収穫量の9割以下と判断する場合は、田んぼダムモデル地区内での当該年の収穫量が確認できる資料の写し

(4) その他市長が必要と認める書類

(補助金の交付決定)

第7条 市長は、補助金の交付申請があったときは、速やかにその内容について審査を行い、交付の可否を決定し、その結果を人吉市田んぼダム協力支援事業補助金交付決定通知書(様式第3号)又は人吉市田んぼダム協力支援事業補助金不交付決定通知書(様式第4号)により申請者に通知するものとする。

2 市長は、必要があると認めるときは、補助金の交付決定に条件を付すことができる。

(事業の内容変更等)

第8条 前条の規定により補助金の交付決定の通知を受けた申請者(以下「交付決定者」という。)は、事業の内容を変更し、又は中止し、若しくは廃止しようとするときは、人吉市田んぼダム協力支援事業補助金変更交付申請書(様式第5号)に市長が必要と認める書類を添えて市長に提出し、その承認を受けなければならない。

2 市長は、前項の規定による承認をしたときは、人吉市田んぼダム協力支援事業補助金交付決定変更通知書(様式第6号)により交付決定者に通知するものとする。

(実績報告及び交付請求)

第9条 交付決定者は、事業が完了したときは、人吉市田んぼダム協力支援事業補助金実績報告書兼請求書(様式第7号。以下「報告書兼請求書」)及び交付決定通知書又は交付決定変更通知書の写しその他市長が必要と認める書類を添えて市長に提出しなければならない。

(補助金の交付)

第10条 市長は、前条の報告書兼請求書の提出があったときは、速やかに当該書類を審査の上、事業が適正であると認めたときは、交付決定者に補助金を交付するものとする。

(補助金交付決定の取消し及び返還)

第11条 市長は、補助金の交付決定を受けた者が、偽りその他不正な手段により交付を受けたときは、当該交付決定を取り消し、既に補助金が交付されているときは、期限を定めてその全部又は一部の返還を命ずるものとする。

2 市長は、前項の取消しの決定を行った場合は、その旨を人吉市田んぼダム協力支援事業補助金交付決定取消通知書(様式第8号)により通知するものとする。

3 市長は、やむを得ない事情があると認めるときは、第1項の返還期限を延長することができる。

(書類の整備等)

第12条 交付決定者は、補助金及び事業に係る書類を整備し、補助金の交付を受けた日の属する年度の翌年度の初日から起算して5年間これを保存しなければならない。

(補則)

第13条 この要項に定めるもののほか、この要項の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この要項は、告示の日から施行し、令和3年4月1日から適用する。

別記1

田んぼダム協力農家収入補てん事業の判断基準について

1 収穫量が基準収穫量の9割以下であることの判断基準

本事業は、田んぼダムモデル地区において、あくまでも田んぼダム実施が原因で当該年の水稲の収穫量が、基準収穫量より9割以下であることが確認できた場合にのみ、補てんの対象とする。そのため、田んぼダム未実施ほ場の収穫量との比較が必要になるが、次に掲げる手法により田んぼダム実施ほ場の減収量を確認し、比較していくものとする。

(1) 本市内のモデル地区で減収量を確認する方法(以下「モデル地区確認法」という。)

(2) 各農業者で減収量を確認する方法(以下「個別確認方法」という。)

(3) 原則、上記(1)の手法で確認するものとし、場合によっては、上記(1)と(2)の併用により確認する。

2 モデル地区確認法の手順について

以下の手順により市長が減収量を確認する。

(1) あらかじめ、市が、田んぼダムモデル地区及び田んぼダムモデル地区外(以下「慣行地区」という。)に調査田用としてそれぞれ3筆以上設置する。ただし、両地区とも調査田の3筆は、それぞれ別の農業者を選定し、土壌条件や水管理以外の栽培条件(品種、肥培管理など)を統一する。

(2) 大雨(水深25cm以上で24時間以上のたん水)後のほ場状態を巡回確認する。なお、湛水の確認には、水位計の活用や現地での写真撮影等により行い、確認した証拠書類を整備しておくこと。

(3) 調査田の収穫時に平均株(平均的穂数の株)3株をほ場ごとに採取し、登熟歩合を確認する。

(4) 調査田のほ場ごとに収穫し、ライスセンター等の乾燥施設で籾の収穫量を確認する。

(5) 上記(3)で確認した登熟歩合を用いて、玄米収穫量を推定する。

(6) 交付申請時までに調査田の玄米収穫量が確認可能であれば、上記(3)~(5)は、省略することができる。

(7) 田んぼダムモデル地区の10a当たり平均単収と慣行地区の10a当たり平均単収を算出し比較する。

(8) 上記手法で、田んぼダムモデル地区の10a当たり平均単収が、慣行地区の10a当たり平均単収に0.9を乗じたもの以下である場合は、田んぼダムモデル地区の当該年の収穫量が基準収穫量の9割以下であると判断し、田んぼダムモデル地区内の対象農業者全てを補てんの対象とする。

3 個別確認法の手順について

以下の手順により市長が減収量を確認する。

(1) 各農業者の10a当たり基準単収を農作物共済(水稲共済)で申請があった10a当たり基準単収により、田んぼダムモデル地区内の各農業者の基準収穫量を算定する。ただし、収入保険加入者の10a当たり基準単収は、本市の田んぼダムモデル地区参加農業者の10a当たり基準単収の平均とする。

(2) 大雨(水深25cm以上で24時間以上の湛水)後のほ場状態を巡回確認する。なお、湛水の確認には、水位計の活用や現地での写真撮影等により行い、確認した証拠書類を整備しておくこと。

(3) 上記(2)により被害が見込まれると判断した場合は、各農業者の田んぼダムモデル地区内の収穫量を確認するために、各農業者がライスセンター等の乾燥施設に持ち込んだ伝票などの収穫量が確認できる資料により玄米換算の上確認する。

(4) 田んぼダムモデル地区の基準収穫量と、当該年の収穫量を比較する。

(5) 田んぼダムモデル地区の当該年の収穫量と、田んぼダムモデル地区の基準収穫量を比較する場合に、田んぼダム実施によらない被害を出来るだけ排除するために、農林水産省が発表する球磨地域の作況指数が「100」を下回った場合は、田んぼダムモデル地区内の基準収穫量を、その比率に合わせて下方修正する。

(6) 上記手法で、各農業者の田んぼダムモデル地区の当該年の収穫量が、各農業者の田んぼダムモデル地区内の基準収穫量より1割以上減少していることが確認できれば、田んぼダムモデル地区の収穫量が基準収穫量の9割以下であると判断する。なお、この場合は、田んぼダムモデル地区内の農業者ごとに判断するものとする。

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人吉市田んぼダム協力支援事業補助金交付要項

令和3年10月28日 告示第167号

(令和3年10月28日施行)