○人吉市景観条例

平成30年12月19日

条例第34号

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 景観計画(第6条)

第3章 行為の規制等(第7条―第10条)

第4章 公共事業等における景観形成(第11条・第12条)

第5章 景観重要建造物等(第13条・第14条)

第6章 特定事業者との景観形成協定(第15条)

第7章 市民の景観形成活動(第16条・第17条)

第8章 人吉市景観審議会(第18条・第19条)

第9章 表彰、助成等(第20条―第22条)

第10章 雑則(第23条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、人吉市(以下「市」という。)における良好な景観の形成に関する市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定及び行為の規制等に関し必要な事項並びに景観形成のための活動の促進に関する事項を定めることにより、球磨川をはじめとする豊かな自然と歴史に育まれた、市の良好な景観を将来へ引き継ぐことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「景観形成」とは、良好な景観を保全し、又は創造することをいう。

2 この条例において「景観計画」とは、法第8条第1項に規定する景観計画をいう。

3 この条例において「建築物等」とは、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(塀を除く。以下「建築物」という。)及び規則で定める工作物(以下「工作物」という。)をいう。

4 この条例において「景観形成地域」とは、次の各号のいずれかに該当する地域のうち、市の景観形成上重要な地域として景観計画で定める地域とする。

(1) 山、高原、河川等の自然の風景を有する地域

(2) 歴史的遺産を有する地域

(3) 田園風景を有する地域

(4) 道路及びその周辺の地域

(5) 都市施設の集積地域

(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が景観形成上特に必要と認める地域

5 この条例において「景観形成重点地区」とは、前項各号のいずれかに該当する区域のうち、特に市の景観形成上重要な区域として景観計画で定める区域をいう。

6 この条例において「眺望保全地区」とは、眺望を意識した景観形成を図る区域として景観計画で定める区域をいう。

7 この条例において「伝統継承地区」とは、地域に根付き受け継がれている伝統行事及び祭りが行われている区域として景観計画で定める区域をいう。

8 この条例において「特定施設届出地区」とは、市内において、建築物等が集積し、又は集積するおそれがある区域のうち、景観形成を図る必要がある幹線道路(道路法(昭和27年法律第180号)第3条に規定する道路及び都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第6項に規定する都市計画施設である道路をいう。)の沿道の区域として景観計画で定める区域をいう。

9 この条例において「特定施設」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第4号若しくは第5号又は同条第6項第4号に規定する営業を行うための施設、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第1号の給油取扱所(専ら自家用に供するものを除く。)、広告塔及び広告板その他当該区域の景観を構成する上で重要な要素となる施設及び設備で規則で定めるものをいう。

10 この条例において「大規模行為」とは、次に掲げる行為をいう。

(1) 建築物であって、その高さ又は建築面積が規則で定める規模を超えるものの新築、増築(増築により新たに規則で定める規模を超えることとなる場合の当該増築を含む。以下この項において同じ。)、改築(改築により新たに規則で定める規模を超えることとなる場合の当該改築を含む。以下この項において同じ。)、移転若しくは撤去又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更

(2) 工作物(柵及び塀を除く。)であって、その高さ(当該工作物が建築物と一体となって設置される場合にあっては、当該建築物の高さとの合計の高さとする。)又はその敷地の用に供する土地の面積が規則で定める規模を超えるものの新築、増築、改築、移転若しくは撤去又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更

(3) 柵及び塀であって、その高さ又は長さが規則で定める規模を超えるものの新築、増築、改築、移転若しくは撤去又は外観を変更することとなる修繕、模様替若しくは色彩の変更

(4) 都市計画法第4条第12項に規定する開発行為であって、その行為に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ若しくは長さが規則で定める規模を超えるのり面若しくは擁壁を生じるもの

(5) 地形の外観の変更を伴う土地の開墾、土石の採取又は鉱物の掘採で、地形の外観の変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超えるのり面若しくは擁壁を生じるもの

(6) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。以下同じ。)等の物件の集積又は貯蔵で、その行為に係る高さ又は水平投影面積が規則で定める規模を超え、かつ、集積又は貯蔵の期間が規則で定める期間を超えるもの

(市の責務)

第3条 市は、市の景観形成を促進するための基本的かつ総合的な施策を策定し、積極的に実施するよう努めるものとする。

(市民の責務)

第4条 市民は、景観形成に関する理解を深め、景観形成に自ら努めるとともに、市が実施する景観形成のための施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、土地の利用等の事業活動が景観形成に影響を与えることを認識し、事業活動の実施に当たっては、景観形成に積極的に寄与するよう努めるとともに、市が実施する景観形成のための施策に積極的に協力するように努めるものとする。

第2章 景観計画

(景観計画)

第6条 市長は、景観形成を総合的かつ計画的に推進するため、景観計画を定めるものとする。

2 景観計画においては、法第8条第2項各号に掲げる事項のほか、景観形成のための行為の制限に関する事項について定めることができる。

第3章 行為の規制等

(届出対象行為等)

第7条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。

(1) 地形の外観の変更を伴う土地の開墾、鉱物の掘採又は土石の採取で、景観計画で区域ごとに定める規模のもの

(2) 木竹の伐採(森林保護のための間伐等の行為を除く。)で、景観計画で区域ごとに定める規模のもの

(3) 屋外における土石、廃棄物、再生資源その他の物件の堆積(堆積の期間が90日を超える場合に限る。)で、景観計画で区域ごとに定める規模のもの

(4) 景観形成重点地区における次に掲げる行為

 建築物等の撤去

 広告物(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物及びこれに類するもので屋内から屋外の公衆に向けて表示されるものをいう。以下同じ。)の設置及び外観の変更で、規則に定める規模のもの

 屋外における自動販売機の設置

(5) 伝統継承地区における広告物の設置又は外観の変更で、規則で定める規模のもの

(6) 敷地の全部又は一部が特定施設届出地区である場合における特定施設及び同一敷地内でこれに附帯する施設の撤去(当該撤去が第4号アに該当する場合を除く。)

(7) 景観形成地域における次に掲げる行為

 建築物等の撤去で、規則に定める規模のもの

 広告物の設置又は外観の変更で、規則に定める規模のもの

 屋外における自動販売機の設置

(8) 景観計画区域(景観計画において定める景観計画の区域をいう。以下同じ。)における建築物等の撤去で、規則で定める規模のもの

2 法第16条第1項及び第2項の規定による届出の様式及び届出に関し必要な図書については規則で定める。

3 市長は、法第16条第3項の規定に基づく勧告をしようとするとき又は法第17条第1項若しくは第5項の規定に基づく命令をしようとするときは、必要に応じ、第18条に規定する人吉市景観審議会の意見を聴くことができる。

4 市長は、法第16条第3項の規定に基づく勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わないときは、規則で定めるところにより、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。

5 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告を受けた者に対し、口頭で意見を述べ、又は意見書を提出する機会を与えなければならない。

6 市長は、第4項の規定による公表をしようとするときは、必要に応じ、第18条に規定する人吉市景観審議会の意見を聴くことができる。この場合において、市長は、前項の意見又は意見書の内容を当該審議会に報告しなければならない。

(国、地方公共団体等の特例)

第8条 国の機関、地方公共団体又は規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)が行う行為については、前条第1項の規定による届出をすることを要しない。

2 前項の場合において、国等は、前条第1項の規定による届出を要する行為を行おうとするときは、あらかじめ市長と協議しなければならない。協議した事項を変更するときも、同様とする。

(適用除外)

第9条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。

(1) 法第16条第1項第1号から第3号までの行為であって、景観計画で区域ごとに定める規模以下のもの

(2) 景観形成重点地区における通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

(3) 特定施設届出地区における行為で規則で定めるもの

(4) 景観形成地域における通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

(5) 大規模行為に係る通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの

(6) 法第16条第2項の規定により届出が必要な行為のうち、法第16条第3項の勧告又は法第17条第1項若しくは第5項の命令に基づくもの

(特定届出対象行為)

第10条 法第17条第1項の条例で定める行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為とする。

第4章 公共事業等における景観形成

(公共事業等景観形成指針)

第11条 市長は、公共事業又は公共施設の建築等で市の景観形成に著しい影響を及ぼすもの(以下「公共事業等」という。)について、景観形成のための指針(以下「公共事業等景観形成指針」という。)を定めるものとする。

(公共事業等景観形成指針の遵守等)

第12条 市は、公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針を遵守するものとする。

2 市長は、国等が公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針に配慮するよう要請することができる。

第5章 景観重要建造物等

(景観重要建造物の指定手続)

第13条 市長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物の指定をしようとするときは、あらかじめ、第18条に規定する人吉市景観審議会の意見を聴かなければならない。

(景観重要樹木の指定手続)

第14条 前条の規定は、法第28条第1項の規定による景観重要樹木の指定について準用する。

第6章 特定事業者との景観形成協定

(特定事業者との景観形成協定)

第15条 市長は、市の景観形成を図る上で必要があると認めるときは、その事業に係る一団の土地の面積が規則で定める面積を超える事業(以下「特定事業」という。)を営み、又は営もうとする者(国等を除く。)と景観形成に関する協定を締結することができる。

2 前項の協定には、次に掲げる事項のうち、必要な事項を定めるものとする。

(1) 協定の名称及び目的並びに協定の対象となる区域に関する事項

(2) 建築物等の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項

(3) 駐車場等附帯施設の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項

(4) 協定の有効期間に関する事項

(5) 協定の廃止又は変更の手続に関する事項

(6) 前各号に掲げるもののほか、協定の対象となる区域の景観形成に関し必要な事項

3 市長は、第1項の協定を締結したときは、その内容を公表するものとする。

第7章 市民の景観形成活動

(景観形成住民団体等)

第16条 市長は、地域の景観形成に関する活動を目的とし、現にその活動を行っている住民の団体であって規則で定める要件を満たすものを法第11条第2項の条例で定める団体(以下「景観形成住民団体」という。)として認定することができる。

2 前項の規定による認定を受けようとするものは、規則で定めるところにより、市長に申請しなければならない。

3 市長は、景観形成住民団体が第1項の認定の要件に該当しなくなったと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。

(景観形成住民協定)

第17条 景観計画区域内における土地(道路、河川、公園等その他公共の用に供する土地を除く。)又は建築物等を所有し、又は管理する者(国等を除く。)は、一定の区域を定め、当該区域の特性に応じた景観形成を図るため、景観形成に関する協定(以下「景観形成住民協定」という。)を締結し、市長にその認定を申請することができる。

2 第15条第2項の規定は、景観形成住民協定について準用する。

3 市長は、第1項に規定する景観形成住民協定認定の申請があった場合において、その内容が市の景観形成に資するものであると認めるときは、規則で定めるところにより、当該協定を景観形成住民協定として認定することができる。

4 市長は、前項の規定により景観形成住民協定として認定したときは、その内容を公表するものとする。

第8章 人吉市景観審議会

(設置及び権限)

第18条 市の景観形成に関する事項を調査審議するため、人吉市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項及びこの条例において審議会に意見を聴くこととされている事項について調査審議する。

(1) 景観計画の策定及び変更

(2) 前号に掲げるもののほか、景観形成に関し市長が必要と認める重要事項

3 審議会は、景観形成に関する事項について、市長に意見を述べることができる。

(組織等)

第19条 審議会は、委員15人以内で組織する。

2 審議会の委員は、景観形成に関し学識経験を有する者その他市長が適当と認める者のうちから市長が委嘱する。

3 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

5 前条及び前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第9章 表彰、助成等

(表彰)

第20条 市長は、次に掲げるものを表彰することができる。

(1) 優れた景観形成に寄与していると認める建築物等の設計者、施工者、所有者その他これに類する者

(2) 前号に掲げるもののほか、優れた景観形成に貢献していると市長が認める個人又は団体

(景観形成に係る助成等)

第21条 市長は、景観重要建造物若しくは景観重要樹木の維持若しくは保全又は景観形成重点地区内の建築物等の修景のために必要があると認めるときは、その所有者等に対し、規則で定めるところにより、技術的援助又は維持若しくは保全又は修景に要する経費の一部について予算の範囲内で助成をすることができる。

2 市長は、景観形成に著しく寄与すると認められる景観形成住民団体の活動に対し、規則で定めるところにより、必要な技術的支援を行い、又は当該活動に要する経費の一部について予算の範囲内で助成をすることができる。

(啓発)

第22条 市長は、事業者及び市民に対し、市の景観施策に係る知識の普及及び啓発に努めなければならない。

第10章 雑則

(委任)

第23条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、第6条の景観計画の告示の日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、第18条第19条及び次項の規定は、平成31年4月1日から施行する。

(人吉市非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 人吉市非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和36年人吉市条例第18号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(経過措置)

3 施行日の前日までに熊本県景観条例(昭和62年熊本県条例第7号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

人吉市景観条例

平成30年12月19日 条例第34号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第10編 設/第4章
沿革情報
平成30年12月19日 条例第34号
令和元年9月26日 条例第47号