○人吉市男女共同参画推進条例

平成22年6月25日

条例第17号

日本国憲法においては、基本的人権の一つとして個人の尊厳と男女の平等がうたわれている。

本市においても、人吉市男女共同参画推進懇話会の提言に基づく基本計画の策定をはじめ、多くの市民、団体等が一体となって啓発活動等に積極的に取り組み、男女共同参画の推進に努めてきたところである。

しかしながら、役割分担意識や社会における活動の選択においては、いまだ多くの課題が残されている。また、少子高齢化社会や地域社会の変化、情報技術の急速な発展などに対応していく上で、男女がお互いの人権を尊重し、あらゆる分野において対等に協力し、責任と喜びを分かち合い、その個性と能力を発揮することができる社会の実現が緊要な課題である。

人吉市においては、男女が対等なパートナーとしてあらゆる分野に参画できるまちの実現に向けて、市民、事業者及び行政が連携協力しながら、男女共同参画社会の形成に向けた取組を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市の男女共同参画社会の形成に関する施策の基本的事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進することにより、男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 市内に居住し、市内に通勤若しくは通学し、又は滞在するすべての者をいう。

(4) 事業者 営利又は非営利を問わず、市内において事業活動を行うすべての個人及び法人その他の団体をいう。

(5) セクシュアル・ハラスメント 他の者を不快にさせる性的な言葉や動作により相手方の生活環境を害する行為又は当該言葉や動作に対する相手方の対応によって不利益を与える行為をいう。

(6) ドメスティック・バイオレンス 配偶者又は親密な関係にある、若しくはあった者に対して身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会の形成については、次に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき推進されなければならない。

(1) 男女の人権の尊重 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることなど、あらゆる男女の人権が尊重されること。

(2) 社会における制度又は慣行の見直し 社会における制度又は慣行について、男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響が中立的に働くよう必要に応じて見直されること。

(3) 政策等の立案及び決定への共同参画 男女が社会の対等な構成員として、市における政策又は事業者における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 家庭生活における活動と他の活動の両立 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家事、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動と地域及び職場における活動その他の活動とを両立して行うことができること。

(5) 生涯を通じた健康への配慮 男女が対等な関係の下に、互いの性について理解を深めることにより、妊娠、出産等に関して互いの意思が尊重され、かつ、生涯にわたって心身ともに健康な生活が営むことができるよう配慮されること。

(6) 国際的協調 男女共同参画社会の形成の促進が国際社会における取組と密接な関係を有しているため、国際的な協調の下に行われること。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、計画的にこれを実施しなければならない。

2 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するに当たり、市民、事業者、国及び他の地方公共団体との連携に努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、自ら進んで男女共同参画社会の形成の促進を図るよう努めるものとする。

2 市民は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に努めるものとする。

2 事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

(市、市民及び事業者の協働)

第7条 市、市民及び事業者は、それぞれの主体的な取組及び相互の連携協力により、男女共同参画社会の形成の促進を協働して行うものとする。

(性別による差別的取扱いの禁止)

第8条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスを行ってはならない。

(公衆に表示する情報における表現への配慮)

第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担又は女性若しくは男性に対する暴力を助長し、又は連想させる表現及び過度の性的な表現を行わないよう配慮しなければならない。

(男女共同参画推進計画の策定等)

第10条 市長は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画推進計画」という。)を定めなければならない。

2 市長は、男女共同参画推進計画を定めるときは、市民の意見を反映させるための措置を講ずるとともに、人吉市男女共同参画推進審議会の意見を聴くものとする。

3 市長は、男女共同参画推進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、男女共同参画推進計画の変更について準用する。

(市民及び事業者の理解を深めるための措置)

第11条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関し、市民及び事業者の理解を深めるために、広報活動の充実、啓発活動等の適切な措置を講じなければならない。

(市民及び事業者の活動に対する支援)

第12条 市は、市民又は事業者が行う男女共同参画社会の形成の促進に関する活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(家庭生活と職業生活等との両立の促進)

第13条 市は、男女が家庭生活と職業生活等とを両立することができるよう、保育及び介護に関するサービスの充実、職場における環境づくりの促進等のための適切な措置を講ずるものとする。

(自営業における男女共同参画社会の形成の促進)

第14条 市は、農林水産業、商工業等の自営業の経営及びこれらに関する活動において、男女が共同して参画できる機会が確保されるよう、情報の提供その他の活動を促進するために必要な措置を講ずるものとする。

(教育の推進及び学習の支援)

第15条 市は、学校教育、社会教育等あらゆる教育及び学習を通じて男女共同参画に関する教育及び学習が適切に行われるための必要な支援を行うものとする。

(積極的改善措置)

第16条 市長及びその他の任命権者は、その職員の登用に当たっては、性別にかかわらず、その能力に応じ均等な機会を確保するよう努めるものとする。

2 市は、附属機関等の設置に当たっては、積極的改善措置を講ずることにより、できる限り男女の構成員の数の均衡を図るよう努めるものとする。

(推進体制の整備等)

第17条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、体制の整備を図るとともに、法制上及び啓発活動等に必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(苦情及び相談の対応)

第18条 市民及び事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策について苦情又は相談があるときは、市長に申し出ることができる。

2 市民は、性別による差別的取扱いその他男女共同参画社会の形成を阻害する要因による人権侵害を受けたときは、市長に相談を申し出ることができる。

3 市長は、前2項に規定する苦情又は相談の申出があったときは、関係機関との連携を図る等適切かつ迅速な対応に努めるものとする。

4 市長は、第1項に規定する苦情又は相談の申出について、必要があると認めるときは、人吉市男女共同参画推進審議会の意見を聴くものとする。

(委任)

第19条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

人吉市男女共同参画推進条例

平成22年6月25日 条例第17号

(平成22年6月25日施行)