○人吉市政治倫理条例
平成10年12月22日
条例第30号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その担い手である市長及び市議会議員(以下「議員」という。)が自ら厳しい倫理意識と高潔な品位に基づき行動することにより、市政に対する市民の信任に応え、もって清浄で民主的な市政の発展に寄与するとともに、あわせて市民も市政に対する正しい認識と自覚のもとに清浄で公正に開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長及び議員の責務)
第2条 市長及び議員は、市民全体の代表者として自らの行動を厳しく律し、人格と倫理の向上に務め、地方自治の本旨にのっとり、公正かつ清廉な活動を通じて、その責務を全うするよう努めなければならない。
(政治倫理基準)
第3条 市長及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市が行う許可、認可又は請負その他の契約に関し、特定の企業、団体等のために有利な取り計らいをしないこと。
(2) 政治活動に関し、企業、団体等から、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないものとし、その後援団体についても同様に措置すること。
(3) その地位、肩書を利用し、又はその地位に伴う影響力の行使によって金品その他のいかなる自己の利益を求め、又は収受しないこと。
(4) 市民全体の代表者として、その品位と名誉を害するような一切の行為を慎み、その職務に関し、不正の疑惑をもたれるおそれのある行為をしないこと。
(5) 市職員(臨時職員を含む。)の公正な人事を確保するため、その採用について不正な推薦、紹介をしないこと。
(請負契約等)
第4条 市長及び議員の配偶者、2親等、同居の親族又は同一生計の親族並びに議員及び市長が役員をしている企業又は実質的に経営に携わっている企業は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2及び第142条の規定の趣旨を尊重し、市が発注する公共事業等の請負契約(下請けを含む。)、委託及び物品納入に関する契約を辞退するよう努めなければならない。
(政治倫理審査会の設置)
第5条 政治倫理に関する重要な事項を調査審議するため、市長の附属機関として人吉市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会は、委員7人をもって組織する。
3 審査会の委員は、社会的信望があり、地方行政に関し識見を有する者及び地方自治法第18条に定める選挙権を有する市民の中から、市長が公正を期して委嘱する。
4 審査会の委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員の定数の3分の2以上の同意を要する。
(守秘義務等)
第6条 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その者が委員でなくなった後も、同様とする。
2 審査会の委員は、その職務を政治的目的のために利用してはならない。
3 審査会の委員は、公平かつ適正にその職務を遂行しなければならない。
2 議長は、前項の規定により議員に対する調査の請求を受けたときは、その書面の写しを市長に送付するものとする。
4 市民は、個人の利益又は特定の政治目的のために請求権を行使してはならない。
(審査会の審査及び公表)
第8条 審査会は、前条の規定による審査の付託があったときは、当該事案の適否又は存否の審査を行う。
2 審査会は、前項の審査を行うため、事情聴取等必要な調査を行うことができる。
3 審査会は、審査の付託を受けた日から起算して120日以内に審査結果を市長及び請求者に文書で報告し、あわせて審査結果の要旨を公表しなければならない。
4 市長は、前項の規定により提出された審査結果の報告が議員に係るものである場合は、当該書面の写しを議長に送付するものとする。
(資産報告書の提出)
第9条 審査会は、事案の解明のため必要があるときは、第4条に掲げる者に対し、規則で定めるところにより、資産報告書の提出を求めることができる。
(市長及び議員の協力義務)
第10条 市長及び議員は、審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。
(照会)
第11条 審査会は、必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して事案の実態を明らかにすることができる。
(虚偽報告等の公表)
第12条 審査会は、市長及び議員が第9条による資産報告書の提出をせず、若しくは虚偽の報告をしたとき又は調査に協力しなかったときは、その旨を公表するものとする。
2 前項の規定による勧告は、文書をもって行い、かつ、理由を付さなければならない。
(贈収賄罪容疑による起訴後の説明会)
第14条 市長又は議員が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4まで又は第198条に定める罪により起訴され、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、市長については市長が、議員については議長が、市民に対する説明会を開くことができる。
2 市長及び議員は、起訴された日から50日以内に前項の説明会の開催を、市長については市長に、議員については議長に対して求めることができる。この場合において、市長又は議長は、説明会を開かなければならない。
3 前2項の説明会において、市長又は当該議員は、事件について釈明し、市民は、市長又は当該議員に質問することができる。
(贈収賄罪確定後の措置)
第15条 市長又は議員が、前条第1項の罪により有罪の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職した場合を除き、市長又は議会は、その名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するため、必要な措置を講じるものとする。
2 議会は、前項の当該議員に議会の名誉と品位を損なう重大な行為があると認めるときは、地方自治法第134条及び第135条の規定に基づき懲罰を科することができる。
附則
1 この条例は、平成11年4月1日から施行する。