セクシュアルハラスメントについて

更新日:2014年4月1日

 セクシュアルハラスメントについて

厚生労働省雇用均等・児童家庭局編集
「職場におけるセクシュアルハラスメントの防止に向けて」より

1.職場におけるセクシュアルハラスメントはなぜ問題なのか

 「女性従業員の肩や腰に触る」「職場にヌードカレンダーを貼る」「猥談をする」これまで、このような行為を、「女性従業員とのコミュニケーション」「職場での息抜きのようなもの」と思い、同僚である女性従業員の気持ちも考えずに、自ら行ったり、他人が行っているのを見て見ぬふりをしていませんでしたか。このような性的な行動は、場合によっては、セクシュアルハラスメントとなり、許される行為ではありません。
 セクシュアルハラスメントが発生すると、次のような点で問題となります。

女性従業員にとって

 職場におけるセクシュアルハラスメントは、そもそも、その対象となった女性従業員の名誉や個人としての尊厳を不当に傷つけるものです。そういった意味で、女性従業員の人権や人格権に関わる問題です。被害者の心身に支障を及ぼすとともに職場環境を悪化させ、女性従業員の働く意欲を低下させ、能力発揮を阻害してしまいます。最悪の場合、女性従業員が退職に追い込まれることにもなってしまいます。  

企業にとって

 被害者の健康や仕事に対する重大な影響、さらには、職場環境の悪化によって職場秩序や仕事の円滑な遂行が阻害されるなど、企業の効率的運営、労働生産性の観点から見逃せない問題です。企業の社会的評価にも影響しかねません。セクシュアルハラスメントに関する裁判も増加傾向にあり、企業の使用者責任を問われるケースも増えています。  

職場での男女の機会均等の観点から

 セクシュアルハラスメントが発生する職場においては、女性に対する意識や役割に対する誤った認識があり、男女間のコミュニケーションの不足、さらには、企業が女性従業員を活用しようという方針がないなどの問題を抱えていることが多く、職場における男女の均等な機会及び待遇を進めるための前提を欠いていることになります。

 2.職場におけるセクシュアルハラスメントの起こる原因・背景

 「職場におけるセクシュアルハラスメントに関する調査」(平成9年6〜7月実施)によると、女性労働者の6割が、職場におけるセクシュアルハラスメントと思われる行為が「見られる」又は「たまに見られる」としています。また、職場におけるセクシュアルハラスメントの起こる原因として、「一部にモラルの低い男性がいる」という理由のほか、「男性は性的な言動を女性が不快に思うことをわかっていない」、「男性が女性を職場で対等なパートナーとみていない」を上位3位までに挙げており、次いで「男性が固定的な男女の役割分担意識にとらわれすぎている」、「社風として企業を支える人材として女性を位置づけていない」の順となっています。

 職場におけるセクシュアルハラスメントが起こる原因(複数回答)

社風として企業を支える人材として女性を位置づけていない 
  • 企業の回答・・・30.3%
  • 労働者総数・・・32.5%
  • 男性・・・28.8%
  • 女性・・・36.1% 
男性が女性を職場で対等なパートナーとみていない
  • 企業の回答・・・50.2% 
  • 労働者総数・・・48.5% 
  • 男性・・・45.3% 
  • 女性・・・51.5% 
男性は、性的行動を女性が不快に思うことをわかっていない
  • 企業の回答・・・53.6% 
  • 労働者総数・・・50.0% 
  • 男性・・・49.0% 
  • 女性・・・51.0% 
男性が固定的な男女の役割分担意識にとらわれすぎている 
  • 企業の回答・・・40.5% 
  • 労働者総数・・・32.4% 
  • 男性・・・32.9% 
  • 女性・・・32.0% 
男女間の日常のコミュニケーションが不足している
  • 企業の回答・・・22.5% 
  • 労働者総数・・・15.4% 
  • 男性・・・22.5% 
  • 女性・・・8.1% 
女性自身に職業人としての自覚が足りない 
  • 企業の回答・・・21.4% 
  • 労働者総数・・・20.8% 
  • 男性・・・26.2% 
  • 女性・・・15.3%
女性が毅然としていない 
  • 企業の回答・・・10.2% 
  • 労働者総数・・・9.2% 
  • 男性・・・9.0% 
  • 女性・・・9.4%
 一部にモラルの低い男性がいるため
  • 企業の回答・・・42.4% 
  • 労働者総数・・・52.5% 
  • 男性・・・49.9% 
  • 女性・・・55.1% 
無回答 
  • 企業の回答・・・0.4% 
  • 労働者総数・・・1.0% 
  • 男性・・・0.2% 
  • 女性・・・1.7% 

 この調査結果などを踏まえ、「職場におけるセクシュアルハラスメントに関する調査研究会報告」(平成9年12月)では、職場におけるセクシュアルハラスメントの起こる原因・背景について次のように分析しています。

(1)企業の雇用管理の在り方

 企業自身が雇用管理の面で男性中心の発想から抜け出せず、女性労働者の活用や能力発揮を考えていない場合が見られます。
 このような企業の女性労働者に対する対応が、男性労働者の意識や認識、ひいては行動や影響を与えるとともに、両者があいまってセクシュアルハラスメントの起こりやすい職場環境が作られていきます。  

(2)女性労働者に対する意識

 職場におけるセクシュアルハラスメントは、さまざまな言動の態様がありますが、共通する特徴として、意識面において女性労働者を対等なパートナーとして見ていないことに加え、性的な関心や欲求の対象として見ていることがあげられます。

 3.男女雇用機会均等法第21条等の解説

 職場におけるセクシュアルハラスメントは、いったん起きてしまうと、被害者のみならず行為者も職場に居られなくなり、退職に至るケースも少なくありません。また、被害者にとって、事後に裁判に訴えることは、事柄の性質上、躊躇せざるをえない面があります。
 こうした事情を考えると、職場におけるセクシュアルハラスメントについては、防止対策こそ最も重要な対策と言えるでしょう。

男女雇用機会均等法

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮) 
第21条  事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮をしなければならない。
2  厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が配慮すべき事項についての指針を定めるものとする。 

  • 男女雇用機会均等法21条においては、職場において行われる性的な言動に対する女性労働者の対応により女性労働者がその労働条件につき不利益を受けること(対価型セクシュアルハラスメント)と、性的な言動により女性労働者の就業環境が害されること(環境型セクシュアルハラスメント)について、事業主に対し、防止のために雇用管理上必要な配慮をしなければならないとしています。 
     事業主が配慮すべき事項については、厚生労働大臣の指針により定められています。
  • 労働者派遣法第47条の2により、派遣先事業主についても男女雇用機会均等法第3章が適用され、自社の従業員と同様に、派遣社員についても、セクシュアルハラスメントが起こらないよう雇用管理上及び指揮命令上必要な配慮をしなければなりません。
  • 都道府県労働局長は、指針に照らし必要があれば、職場におけるセクシュアルハラスメントに関し、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができます。

 4.職場におけるセクシュアルハラスメント防止のために配慮すべき事項について(指針)

1.職場におけるセクシュアルハラスメントの内容

「職場」とは

 事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所です。
 労働者が通常就業している場所以外であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば職場になります。
 また、アフターファイブの宴会であっても、実質的に職場の延長線上のものであれば、職場に該当すると考えられます。

職場の例
 取引先の事務所、接待など取引先との商談のための会食などの場所、出張先、車中(営業、バスガイドなど)、顧客の自宅(保険外交員など)、取材先(記者)など

「性的な言動」とは-

  性的な内容の発言や行動を意味します。  

性的な言動の例

  1. 性的な内容の発言 
    ・性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、意図的に性的な噂を流布する、個人的な体験談を話したり聞いたりする・・・など 
  2. 性的な行動 
    ・性的な関係の強要、身体への不必要な接触、強制わいせつ行為、強姦 
    ・ヌードポスター、ヌード写真の出るスクリーンセイバーの使用、わいせつ図画の配布、掲示・・・など

 なお、女性労働者のみに「お茶くみ」や「電話番」等を行わせること自体は、性的な内容の言動には当たらないとしても、前述した「対等なパートナーとして見ない」意識の問題として、必要に応じ啓発や研修において取り上げていくことが適当でしょう。

対価型セクシュアルハラスメント

 職場において行われるものです。
 女性労働者の意に反する性的な言動に対する女性労働者の対応によって、その女性労働者が解雇、降格、減給などの不利益を受けることです。

対価型セクシュアルハラスメントの例

  • 事務所内において事業主が女性労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その女性労働者を解雇すること。 
  • 出張中の車中において上司が女性労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、その女性労働者について不利益な配置転換をすること。 
  • 営業所内において所長が日頃から女性労働者に係る事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、その女性労働者を降格すること。
環境型セクシュアルハラスメント

 職場において行われるものです。
 女性労働者の意に反する性的な言動により、女性労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、その女性労働者が就業する上で見過ごせない程度の支障が生じることです。

環境型セクシュアルハラスメントの例
(身体接触型) 

  • 給湯室において上司が女性労働者に対して抱きついてきたため、出勤するのがつらくなっていること。 
  • 事務所内において事業主が女性労働者の腰、胸等に度々触ったため、その女性労働者が苦痛に感じて、その就業意欲が低下していること。 

(発言型) 

  • 同僚が取引先において「性的にふしだらである」などの噂を流したため、その女性労働者が苦痛に感じて取引先に行くことができないこと。 
  • 会社内で顔を合わせると必ず性的な冗談を言ったり、容姿、身体に関することについてきく男性労働者がおり、女性労働者が非常に苦痛に感じていること。

 
(視覚型) 

  • 女性労働者が抗議しているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、女性労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。

 

2.職場におけるセクシュアルハラスメント防止対策

 職場におけるセクシュアルハラスメント防止のために事業主が配慮すべき事項は、指針で定められています。
 事業主は、次の3項目いずれにも配慮しなければなりません。配慮の方法は、それぞれの項目ごとに「配慮をしていると認められる例」として挙げているものを参考に、企業・事業所の規模や職場の状況に応じて、各事業主が最も適切と考える措置を実施してください。

雇用管理上配慮すべき事項     
  1. 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発 
  2. 相談・苦情への対応 
  3. 職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合における事後の迅速かつ適切な対応 
 (1)事業主の方針の明確化及び周知・啓発

 事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を明確化し、労働者に対してその方針の周知・啓発をすることについて配慮をしなければなりません。

 (配慮をしていると認められる例) 

  • 社内報、パンフレット、ポスター等広報・啓発資料等にセクシュアルハラスメントに関する方針等を記載し、配布する。 
  • 従業員心得や必携、マニュアルなど服務上の規律を定めた文書にセクシュアルハラスメントに関する事項を記載し、配布又は掲示する。 
  • 就業規則等に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針等を記載する。 
  • 労働者に対して職場におけるセクシュアルハラスメントに関する意識を啓発するための研修、講習等を実施する。

 職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するためには、まず、事業主自身が、職場におけるセクシュアルハラスメントを許さないことを雇用管理の方針として明確にし、これを周知・啓発することによって、職場環境や慣習を変えることが重要です。
 周知・啓発を行うに当たっては、セクシュアルハラスメントの起こる原因や背景についても理解を深めるようにすることが効果的です。

(2) 相談・苦情への対応     

1.事業主は、相談・苦情への対応のための窓口を明確にすることについて配慮をしなければなりません。

(配慮をしていると認められる例)

  • 相談・苦情に対応する担当者をあらかじめ定めておく。 
  • 苦情処理制度を設ける

2.事業主は、相談・苦情に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応することについて配慮をしなければなりません。

 (配慮をしていると認められる例) 

  • 相談・苦情を受けた場合、人事部門との連携等により円滑な対応を図る。 
  • 相談・苦情への対応のためのマニュアルをあらかじめ作成し、これに基づき対応する。

 職場におけるセクシュアルハラスメントは、未然の防止対策が重要です。そのためには相談・苦情窓口を明確にし、労働者が気軽に苦情の申し出や相談ができる体制を整えるとともに、相談・苦情に適正かつ柔軟に対応することが必要です。
 また、セクシュアルハラスメントの発生のおそれのある場合や、職場におけるセクシュアルハラスメントに該当するか否か微妙な事例であっても、相談・苦情に対応することが求められます。

(3) 職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合における事後の迅速かつ適切な対応     

1.事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合において、その事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認することについて配慮をしなければなりません。

 (配慮をしていると認められる例) 

  • 相談・苦情に対応する担当者が事実関係の確認を行う。 
  • 人事部門が直接事実関係の確認を行う。 
  • 相談・苦情に対応する担当者と連携を図りつつ、専門の委員会が事実関係の確認を行う

2.事業主は、その事案に適正に対処することについて配慮をしなければなりません。

 (配慮をしていると認められる例) 

  • 事案の内容や状況に応じ、配置転換等の雇用管理上の措置を講ずる。 
  • 就業規則に基づく措置を講ずる。

 職場におけるセクシュアルハラスメントが発生した際、これを放置したり、対応を誤ると職場環境に悪影響を与え、さらなるセクシュアルハラスメントを誘発しかねません。
 職場におけるセクシュアルハラスメントの再発防止のためにも、その事実関係を迅速かつ正確に確認するとともに、事案に応じて適正に対処することが必要です。
 なお、事案の性質や軽重に応じて、事実確認が完了していなくても、被害の拡大を防ぐため、被害者の立場を考慮して適切な応急措置をとることが必要です。

(4) その他     
  • 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る女性労働者等の情報は、その女性労働者等のプライバシーに属するものです。事業主は、プライバシーの保護に特に留意してください。さらに、プライバシーの保護に留意していることについて、周知をしてください。
  • 職場におけるセクシュアルハラスメントに関して、女性労働者が相談をしたり、苦情を申し出たこと等を理由として、その女性労働者が不利益な取扱いを受けないように、特に留意してください。さらに、不利益な取扱いを受けないよう留意していることについて、周知をしてください。
  • 男女雇用機会均等法においては防止の対象となっておりませんが、男性労働者に対して行われるセクシュアルハラスメントについても、防止対策に入れることが望ましいことは言うまでもありません。


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